『フランス語で読む八十日間世界一周』/IBCパブリッシング刊

フランス語で読む八十日間世界一周
ジュール・ヴェルヌ(著)
西村亜子(リライト・解説)
高野優(翻訳)

ISBN 978-4-7946-0291-6
紙書籍定価: 2,640円

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『フランス語で読む八十日間世界一周』特典
西村亜子先生による文法解説

大文字・小文字の違いにも意味が?!

原則として文の最初にくる語と固有名詞の最初の文字は大文字になります (この時、アクサン記号は省略してもよい)。英語と違って月の名前が小文字表記なのもそのためです。

しかし文中であっても、普通名詞であっても大文字を使う場合があります。その場合はその名詞が固有名詞扱いされているか、s「特別な意味」が付加されているかのいずれかです。un Français は「フランス人」ですし、parler français ならば「フランス語を話す」です。カトリック教徒多いフランスでは自分たちの神を le Dieu、多神教の神を le dieu と書き分けます。ちなみに le Sauveur は「救世主キリスト」を意味します。

Le 2 octobre 1872, un jeune Français d’une trentaine d’années se trouvait devant la maison portant le numéro 7 de Saville-row, Burlington Gardens. Cette maison était habitée par Phileas Fogg, esquire, l’un des membres les plus singuliers et les plus remarqués du Reform-Club de Londres. (p.14, 2行目-)

混乱したらこの呪文:「綴りが一緒、発音が一緒、でも役割が違う!」

フランス語の読解は論理的なジグソーパズルです:まずは「何が混乱のもと」なのかをはっきりさせましょう。多義語 (いろいろな意味がある) や常套句、熟語だからわからないという場合もありますが、「綴りや発音が同じだけど役割 (品詞) が違う」語が原因かもしれません。例えば le は定冠詞、直接目的語の代名詞、中性代名詞と3つの役割があります。わからなくなったら「構文の中の位置」と「前後にどんな語があるか」をヒントにします。

Il avait pour mission de trouver le suspect, et pour le cas où, il devait le «filer» en attendant un mandat d’arrestation. (p.36, 4行目)

最初の le は名詞の前なので定冠詞、次のは動詞の前なので直接目的語 suspect の代名詞です。間違えやすいのが前置詞の en と中性代名詞 en、それから前置詞ではありますが、ジェロンディフの導入詞として使われる場合です。

(…) il (Passepartout) passa devant l’admirable pagode de Malebar-Hill. Il eut la malencontreuse idée d’en visiter l’intérieur. (p.36, 4行目) 次に動詞があるので中性代名詞。l’intérieur de la pagodeen で表わされている。
Le conducteur du train passa devant la ligne des wagons en disant: «Les voyageurs descendent ici.» (p.36, 4行目) 現在分詞があるのでジェロンディフ。

様々な否定の形と否定辞

否定の語句には基本の ne+動詞+pas (〜でない) 以外にもいろいろあります。また例えば複合時制の時に「主語+ne+助動詞+pas+過去分詞」となるように、時制や法によって否定の語句の位置も変わります。第2章と第3章に出てきているものを見てみましょう。

代名動詞

第4章では実に20以上の代名動詞が登場します。代名動詞は一般に次のようなタイプに分類されます。

  1. 代名動詞としてしか使われない「本来的代名動詞」:
    — Brûler mon navire! s’écria le capitaine Speedy, qui ne pouvait même plus prononcer les syllabes.
  2. 代名動詞になると意味が変化する動詞 
    (…) la locomotive s’en allait avec une nouvelle vitesse.
    → aller 行く / s’en aller 立ち去る
  3. 再帰代名詞が目的補語である代名動詞
    Mrs. Aouda s’était retirée dans une chambre de la gare, et là, seule, elle attendait, songeant à Phileas Fogg, à cette générosité simple et grande, à ce tranquille courage.
  4. 受動的意味を表す代名動詞
    (…) l’Henrietta se dirigeait vers Liverpool.

受動態

受動態は「êtreの活用形+過去分詞」という構文で表します。能動態文の時の直接目的補語が受動態文の主語に、能動態文の時の主語が受動態文の動作主補語へとそれぞれ入れ替わります。この時、動作主は前置詞 par (特定の動詞では de) によって導入されます。また、もともとの文で動作主がいない場合は、on を主語として使います。
Passepartout fut sonné. Il arriva aussitôt. (p. 170, 8行目)
→ On sonna Passepartout. (On=文脈でフォッグ氏とアウダ夫人のことだとわかるが文には書かれていない)。