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FEATURE


松澤喜好氏インタビュー
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インタビュー(全2回)

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松澤喜好氏インタビュー 第4回「『単語耳』の学習法」

ベストセラー語学書『英語耳』『単語耳』(アスキー刊)の著者・松澤喜好先生は、英語必須のビジネス現場でお仕事をしながら、英語学習の講演や語学書の執筆で活躍されています。松澤先生ご自身の経験から生まれた英語学習法についてお話を伺いました。
『単語耳Lv.1』では、英語の子音・母音の発音を練習します。日英の子音の特徴はあまり知られていません。例えば、英語の[s]の音は日本語の「さしすせそ」と違うんですよね。この[s]の音はボイストレーニングをしないとなかなか出ない。だから日本人が“She sells seashells by the seashore.”と言うと、“she”も“sea”も発音がみんな同じになってしまう。日本語にはこの“sea[si:]”の音がないので、まずこの[si:]の発音を教えます。そして[s]が弱いということを指摘します。10メートル先にいる人にも聞こえないとだめだと言うと、びっくりされますけどね。大きな[s]が出るようになるまでは3ヵ月ぐらいかかりますけれど、それが出てくると“ask”とか“text”と言えるようになるわけです。

今のような話を聞いてから『単語耳Lv.1』の[s]のところをやると意味がわかると思います。単語が1万語あったら、そのうち20%には[s]が入っています。ネイティブ・スピーカーは[s]を強く発音しますね。そのことに気づいて欲しいと思います。


―[s]をちゃんと発音できれば、それらしい英語になるということですね。
そうですね。日本人が「カタカナ式の英語の発音」から脱皮できます。

―“th”の発音は中学高校でよく注意されますが。
[s]の音と間違いやすいですからね。でも“th”の数は少ないので、コミュニケーションにはそんなに影響はないんですが、[s]がちゃんと言えないと、聞くほうは一生懸命聞かなきゃいけないから苦労するんです。通じないわけではないけれど、聞き取りにくいです。“th”も、舌を噛むだけではなくて“th”の次の音に行くまでちゃんと空気を吐きつづけないと“th”の音になりません。舌を噛んだだけでは[s]の音と間違われてしまいます。

『単語耳Lv.1』ではそのように、ひとつひとつの音を学習します。でもそれだけではしゃべれるようにならない。次にやらなければいけないのは音節です。例えば“sta・tion”は2音節です。音節というのは子音と母音と子音のかたまりです。かたまりですが、ひとつの「かな」みたいに1音で発音します。その音節にアクセントがないときは、アクセントのある音節より弱く言わなければならない。アクセントのある音節で2,000単語を56パターンに分類したのが、『単語耳Lv.2』です。お経みたいに繰り返し練習すると発音できるようになります。かなりスパルタ的な練習ですが、やりきれば必ずどんな単語でも発音できるようになります。

そして3巻目の『単語耳Lv.3』(2008年3月発行予定)では、この音と語源を結びつけて分類します。英語全体の構造を理解しながら単語を覚えていきます。『単語耳Lv.1』でも少し説明したんですが、「立つ」という語源を持つ“stand”とか“statue”のように、アクセントのある音節で分類していくと、同じ語源でまとまるんです。それをグループ分けして、「これはラテン語の“stare(立つ)”から来ていますよ」というように“sta”という音節は「立つ」という意味と一緒に説明します。コンセプトはいいんですが、作業が大変で(笑)。でも1巻と2巻で使った単語の一部も語源でグループ化できるので、それも入れようかなと考えています。


―単語同士がつながってくるわけですね。
そうですね。単語をグループで覚えられるようになります。漢字のへんやつくりは、「木」や「水」など漢字が自然界にあるものを取り入れているのと同じように、インド-ヨーロッパ語族のラテン語系の語源は「立つ」「座る」など、動作に関係してグループ化できます。英語の中にも漢字が隠れているようなものです。多分ネイティブは音でそういう感覚を持っていると思います。アメリカでも語彙の増やし方として語源を習いますし、英語圏の大学などではそういう手法がとられています。

ラテン語というのは接頭辞(“con-”、“in-”などで方向を表す)と語根(動作を表す)の組み合わせで、意味が非常にきれいにマトリックスになっていたんですが、英語に取り入れる際に、人によってちょっとずつ意味を変えていったので、英語はきれいなマトリックスにはなっていません。ですからちょっと考えないといけない。そこが英語学習者にとっては、不幸なところですね。

接頭辞でよく使われているのは20種類ぐらいです。アルクのサイトの語源辞典では語根のランキングを50番目まで作りました。接頭辞を縦軸、語根を横軸にして表を作ると、ラテン語は縦横の表にきれいに入るんですよね。それを英語でやると、ちょっとずつ違う。だから“st”が付く英語が150あるんですが、ちょっと説明に無理がある単語もあります。だから語源の学習があまり普及しないんだと思います。


―3巻が理解できると英語そのもののおもしろさがわかるでしょうね。
そうですね。英語が怖くなくなるでしょうね。すべての単語が何となくデジャヴのような感じになっていくと思います。1、2巻で音を覚えて、3巻で語源を理解してもらいます。4巻も同じで、2,500単語を同じように分類します。3巻が理解できれば4巻はとっつきやすくなると思います。

―『単語耳』の付属CDは、ナチュラルスピードとはっきりゆっくり発音したものの両方が収録されているところが、すごくいいと思います。
そうですね。教材を作るときに、どのスピードにしたらいいかいつも迷うんです。片方だけだとどっちつかずなんですよね。だから両方必要だと思うんですが、どっちを先にするかも迷います(笑)。日本語はあまり変わらないんですが、英語だと速さによって発音が変わるんですよね。たとえば普通の会話では、語尾の子音がほとんど消えかかったり、アクセントが無い母音があいまいな音になったり、消えたりします。

―文章にしても、どんどん単語をスキップしてしまいますよね。
そうですね。かたまりになってしまいます。“Check it out.”が「チェキラ」になったり。授業では順序として「チェック イット アウト」から教えるんですが、それは本当はだめよと教えます。普通は全部つながって「チェキラ」となるんだけど、それは“t”を抜いてしまうからなんだという「からくり」を理解しながらやりましょう、というふうに教えています。ネイティブは「チェック イット アウト」と言ってもわかってくれませんし、ネイティブに「チェキラ」と言われても“Check it out.”のことだとわかるようにしなければなりません。

―アメリカ人に「あなたの英語は聞いてて疲れる」と言われたことがあります。
日本人は単語ごとに区切ってしゃべるので、すごく頭を回転させて聞かなきゃいけないから疲れる。だから、むしろつなげてしまったほうがいいですね。リスニングというのはつながった音から単語を切り出す作業なんですが、ネイティブの人はかたまりで聞いているので、かたまりごとに切ってあげるといいですね。全部を単語ごとにぶつ切りにすると、その1個1個をフレーズとして捉えようとするから、すごく脳に負担がかかるんですよね。熟語なのか単語なのかわからなくなるんです。

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  松澤喜好氏写真
松澤 喜好
(まつざわ きよし)

1950年生まれ。電気通信大学電波通信学科卒業。富士ゼロックス株式会社の開発部門で、毎日英語を使う仕事をしている。日本音声学会、日本英語学会会員。
ウェブサイト「英語・発音・語彙」主宰
ウェブサイト「スペースアルク」にコラム「語源辞典」を寄稿。

【主な著書】
表紙画像
『単語耳―英単語八千を一生忘れない「完全な英語耳」 理論編+実践編Lv.1』
表紙画像
『単語耳―英単語八千を一生忘れない「完全な英語耳」 実践編Lv.2』

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