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日野原 重明氏インタビュー

英文版『生きかた上手』刊行にあたって、日野原重明先生に、お話をうかがいました。

―日野原先生と英語との出会いを教えてください。 
  父が若い頃アメリカで学んでいたこともあり、家の中はインターナショナルな雰囲気にあふれていました。中学時代、父の大学時代の同級生が偶然にも英語の教師として僕の中学に赴任していました。そのオグマン先生との出会いが大きかった。先生は英語で授業をされたのですが、それが本当に楽しくてね。家にもリンゴを持って遊びに来てくださったりして。文法などわからないけれど、なんとなく「通じる」という感じを持つことができたんです。オグマン先生と出会えたおかげで、英語に対して良いイメージが持てたのです。

中学校を出て第三高等学校に進みました。そこにエルダー先生という英国人の先生がいたのですが、その先生が話すことが他の生徒は聞き取れませんでした。僕はオグマン先生の英語に慣れていたからわかったのですが。それで、エルダー先生が質問を出すと僕が積極的に答えるようになり、英語に対してもファミリアーな感じになりました


―先生は39歳のときにアメリカ・アトランタ州のエモリー大学医学部に留学されています。
 終戦後アメリカに1年留学しました。オグマン先生のおかげで、大きな苦労はなかったように思います。それでも、汽車に乗ってカリフォルニアからアトランタのジョージアまで3泊4日かけて向かったときのことです。乗客と話しているときに、「どこに行くんだ?」と尋ねられて、「アトランタに行くんだ」 と言っても、通じないのです。それで紙に書くと「ああ、ランタ・ジョージアに行くのか!」と言われてね。「アト」なんて言わないんです。ジョージア州のアトランタを皆、「ランタ・ジョージア」と言っているんですね。

言葉というのは教科書どおりに習ってもダメなんだ、ということを身にしみて感じました。だから、留学中は教会に行ってお説教を聞くなどして、積極的にヒアリングを鍛えました。わからなくても、まずは耳を慣らそうと思ってね。

 僕が名詞を渡すと、相手は「ハイノヘラ」と発音します。僕の父が1900年に留学したときには、日野原善之輔という名は「ゼンスキー ハイノヘラ」と呼ばれていました。だから僕は名前を憶えてもらうために、自己紹介というと、 "My name is Dr. Ohara." と言っていました。アトランタでは、『風と共に去りぬ』が有名だからね。そういう冗談から自己紹介が始まると、話も広がります。


※映画『風と共に去りぬ』の主人公の名前は「スカーレット・オハラ」。

―留学中にどんなことを学ばれましたか?
 僕がアメリカに行って学んだことは、すぐに聞き返すことです。見ていると、皆わからなくても "Oh, yes!" とか答えてしまってますよね。はっきりしないのにね。これは日本人の悪い癖だと思います。"I don't know. I can not understand. Please say it slowly." と言えばいいんです。それが日本人にはできない。わかったようなふりをしてしまうんだね。 "uh-huh" とか言ってね。「あなたの言うことはどういうことですか。もっとゆっくり言ってください。」と言ったらいいんです。

とはいえ、僕も苦い経験がある。英語のジョークに、皆に合わせて笑っていたら、友達に「おまえわかったの?」と聞かれてしまって。そのときに自分も「ああ、日本人的だな」と思いました。

僕はアメリカの留学で "I don't know." と公然と早く言う癖がつきました。わかったようなふりをせずに「わからないから、書いてください」と言える。それが英語をマスターするのに一番大切なことだと思います。

だいたい留学すると、女子学生のほうが覚えるのが早いですね。おしゃべりするからね。男性はあまりしゃべらないから。それと日本人がたくさんいるような場所もダメ。ニューヨークとかシカゴとか、日本人ばかりで固まっていたりしますから。もしこれから留学を考えている人がいたら、日本人がいないような田舎がいいと思いますよ。


―英語を学んでいる、あるいは新たに学習を始める方々に、メッセージをお願いします。
 リスニングを大切にするといいと思います。文法を考える前に、わからなくてもとにかく聞くこと。聞き続けることが大切です。発音さえ合っていれば、なんとか通じるものです。文法が間違っていてもね。どうしてもRやLがうまく言えなかったりということもあるだろうけれども、その辺は自分でしっかり努力してね。テープに入れて、同じものを何度も聞いて、フレーズを覚えるんです。

  たとえば、「わからない」と言うときにネイティブは、 "I don't know." とは言わないんです。 "I don't think I know." と言うんです。それが自分で言えるようになると、かっこいいんですよ。 "I don't know." だと、「知らないよ」と素っ気ない感じですけど、"I don't think I know." は「そうね、よくわからないな」という感じです。こういうスマートな表現をストックするんです。

  僕は今も、友達の手紙などを保存して、 "You are gracious(恵み深い)." とか "compassionate(あわれみ深い)" とか、そういういい言葉を自分の持ち駒にしています。そして、それを使えたときには、本当に爽快な気持ちが味わえます。その気分を皆さんにもぜひ味わって頂きたいと思います。

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日野原 重明
Shigeaki Hinohara
1911年山口県生まれ。京都帝大医学部卒。41年に聖路加国際病院の内科医となり、内科医長、院長等を歴任。現在、聖路加国際病院理事長・同名誉院長、聖路加看護大学理事長・同名誉学長。
著書として、『死をどう生きたか』(中公新書)、『老いを創める』(朝日新聞社)、『「新老人」を生きる』(光文社)など多数。


Living Long, Living Good
Living Long, Living Good
『生きかた上手』
日野原 重明 著
ISBN 4-89684-278-2



『生きかた上手』 ユーリーグ刊
『生きかた上手』
ユーリーグ刊
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