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秋元良平氏インタビュー

-ドラマ化・映画化に続き、ラダーシリーズで「盲導犬クイールの一生」が、出版され英語でも楽しめるようになりました。
  この本の良い点は、後ろにWord Listがついていることですね。分からない単語があってもすぐにひくことができる。もしくは、辞書をひかないように頑張って読む、ということもできます。
また、ラダーシリーズではクイールの写真も多く、お父さんやお母さんが、英語の本に対して子供に興味を持たせるのにもいいと思います。


-「生まれたばかりのクイールを見て、まず秋元さんは何を感じましたか? 
  動物が好きで、ツキスミ(クイールの母犬)の出産の手伝いをしたことが始まりです。生まれたうちの1匹を盲導犬協会に供出することだけは決まっていたのですが、どの仔犬を盲導犬候補にするかは決まっていませんでした。また、母犬が家庭犬で、その仔犬が盲導犬候補になるのは、珍しいケースでした。盲導犬の適性を考え、最終的にクイール(その当時は、ジョナサンという名前で呼ばれていました)が選ばれました。クイールのわき腹にカモメのような模様があったのが印象的でした。

-すでにその時からクイールの一生を撮り続けようと決められたのでしょうか?
 全く決めていませんでした。当時は写真家としてフリーになってすぐの頃だったので、盲導犬協会のある京都まで通って写真を撮るのは、大きな負担でした。何よりクイール自身が盲導犬になれない可能性もある。だけどもう出会ってしまった。それ以上に撮り始めたら、すごくよかったんです。
その後、盲導犬に成長してゆくクイールをライフワークとして撮り続けました。しかし、クイールの一生を撮ろうとは、当時は考えていませんでした。ただ、犬だから人間より寿命は短いということはいつも感じていましたが。
悲しいことに、クイールの使用者だった渡辺さんが亡くなり、クイールはデモンストレーション犬となりました。私もそんなクイールを再度撮り始めました。
年を取り体力が落ちたクイールは、パピーウォーカー(盲導犬の育ての親)である仁井さんの元へ戻るのですが、さらに身体の具合が悪化します。クイールの死期が近づいたのを感じた仁井さんから「写真を撮りたいんじゃないか」と電話をいただいた時にはその心づかいに頭が下がりました。クイールが亡くなったのは、その撮影、3日後です。仁井さんからの電話がなかったら、クイールの一生の写真を撮ることはなかったと思います。


-皆さんのさまざまな思いが重なっているのですね。だからこそ、クイールの写真は心を打つし、涙があふれてしまう。
 泣かせるつもりで撮ったわけではありませんが、クイールの一生を通じて皆さんが感じることがあるんだと思います。 今まで、1匹の犬の、なおかつ盲導犬の一生を撮った写真はなかったわけですし。
自分はクイールの一生を見続けることができて、一番幸せだったと感じています。

-そういった暖かい気持ちがあるから、訴える写真が撮れたのですね。
 写真家として僕自身が成長していく過程で、クイールに技術的なことも教えてもらったと思います。例えば、犬の顔は人間よりもさらに立体的になっています。どこにピントを合わせるのか?鼻なのかと考えていましたが、そうじゃない。ピントを合わせるのは、やはり目なんです。フイルムがモノクロだったから自分で現像して、プリントもして・・・。必死だったけど、楽しかったですよ。
クイールも覚えていてくれて、渡辺さんが冗談まじりで「クイールが秋元さんの方ばかり見るから、困る」なんて言うほどしたから。歩行中、道の反対側から望遠レンズで写真を撮ろうとすると、クイールは僕のことを探してるんです。するとハーネスを通じて、集中していないことが渡辺さんに伝わってしまう。

-ハーネスを通じてですか?
 渡辺さんによると、ハーネスから、盲導犬の様子が「見える」というんです。目と一緒です。ハーネスは、決して握っているわけではなく、軽く手でささえているだけ。
一度アイマスクをして、盲導犬と歩かせてもらいましたが、まず感じるのは怖いということ。真っ暗だと怖いんです。足の裏の感覚・地面を踏みしめる感覚もよく分かります。音がはっきりと聞こえるし、お弁当屋さんの隣を通るとにおいだって、よく分かる。視覚を閉ざしてしまうと、他の感覚が鋭敏になります。
クイールには、たくさんのことを教わりました。目が見えない人の気持ちも教えてもらったと思います。

-クイールの印象深いエピソードがありましたら教えてください。
 クイールの最後の写真を撮りに行った後、仁井さんから「クイールは、もうだめかもしれない」というお電話をいただきました。それで、「クイールに電話を代わってください」とお願いをしたんです。クイールの耳に受話器を当ててもらい、話しかけました。すると、耳を立てじっと聞いてくれたそうなんです。話した内容については、もちろんクイールとの秘密です。

-写真家として、写真を撮る上で何を一番大切にされていますでしょうか?
現在撮影している料理の写真は、ストロボもつかいますが太陽光の下で撮るようにしています。太陽は一つしかありませんが、季節や角度で光は異なるし、色も変ります。そのような中で撮った写真をとてもきれいだと感じるんです。自然をスタジオにして、力をもらっているような感じです。
理屈ではなく感じることってありますよね。それは、機械的に撮っていたり、ただきれいに整えて写しているだけではない。言葉ではなくて、感じてしまう。何か分からなくても、写真から出てきてしまう。そういったパワーをこめて、写真を撮っていきたいと考えています。

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  秋元 良平氏写真
秋元良平
Ryohei Akimoto
1955年生まれ。東京農業大学畜産学科卒。新聞社写真部の契約カメラマンを経て、現在はフリーランス・フォトグラファー。著者に写真集『盲導犬になったクイール』『老人と犬』(あすなろ書房)、『クイールは盲導犬になった』(こわせ たまみ・文/ひさかたチャイルド)などがある。

秋元良平のきまぐれブログ
http://ryoheiakimoto
.blog49.fc2.com/


[RYOHEI AKIMOTO GARELLY]
http://www.ryoheiakimoto.jp/

表紙画像
Quill The Life of a Guide Dog
『盲導犬クイールの一生』
秋元良平 (写真)
石黒謙吾 (文)
ISBN 4-89684-174-3
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