英語総合研究所所長 阿部一 (あべ・はじめ) 氏からのメッセージ

いよいよ本格的なグローバル時代を迎えて、「実践的で本格的な英語力」が求められるようになってきた。大震災や原発問題、あるいは円高による輸出企業の業績不振などばかりクローズアップされて、その陰に隠れてしまっているが、いまや韓国や中国での英語学習熱の高まりを筆頭に、インドネシアやタイなどアジアの諸国でもこのグローバル時代の大波に乗り遅れまいと、みな必死で英語の習得に励んでいるのである。

アジア諸国には、英語ができれば給料が倍、日本語もできれば3倍などという国はざらにあるので、将来の政財界のリーダーを目指す人は、英語圏に留学するのも当たり前になっている。日本人の留学人口が減る一方であるのと正反対である。

日本ではいまだに大学進学といえば、国内で日本語で、というのが当たり前に行われている。したがって、英語の指導も学習も、このグローバル時代に世界を飛び回って (別に物理的・地理的に回らなくても、バーチャルでいくらでも自由にできる) 問題なくコミュニケーションを図れるようにはまったくなっていない。確かに、日本の大学は優秀だから留学する必要はないという声もあるが、いまや日本トップの東大ですらアジアで10位にも入れない状態である。英語の壁がこれに大きく影響していることは間違いない。なぜなら、順位を伸ばして上にきているのは、韓国や中国など躍進している国に加えて、シンガポールや香港など英語を自由に使いこなしている国で、英語が利点となっていることが明白だからである。

数年前に相談を受けたいくつかの学校では、たとえば、「授業で出てきた海外の専門家や研究などを、休み時間を使って自由にリサーチしたり英語のホームページをチェックし、おもしろいと思った学者や専門家などにはその場ですぐにメールを出せるような英語力をつける必要がある」と言ったら、「どこの国のことですか? とても無理です」と最初から経営陣も教師も腰砕けで、かつ、「そのためには高校2年生の秋で10,000語突破が目安です」と言うと2度ビックリという有様である。

とにかく、これではとても急速なグローバル時代の大波には乗れそうにもない。しかし、学校以上にいま困っていて、“いまそこにある危機” が目の前にあるのが、実は日本のグローバル企業である。かつては世界のトップにいたブランド企業が、いまでは何社かまとめてようやく韓国の一企業に匹敵するといった凋落ぶりである。なんとかしようと、どの企業も社内の整備や再編成に必死である。一流企業ならいくらでも帰国子女や留学帰りがいるのでは、という質問があるが、いまの企業側の事情はノーである。英語を使える人が多くいるのは事実であるが、企業側は彼らではダメだと言う。

いま、企業で英語力が本当に必要な人は中堅幹部クラスの人たちなのである。たとえば、人をうまく使いこなせて組織を動かせるマネージメント能力のある人や、現場の第一線で技術指導をしている一流技術者などである。そして、彼らのほとんどは英語はまったくできない、元々嫌い、ずっと避けてきたという事情がある。

私の主宰している英語総合研究所 (略称:英総研) は現在、限られた予算と時間で、そういう人たちに人柄やキャリア (業務遂行力) に見合った “品格と教養のある英語力” を身につけてもらうことを主眼としている。彼らは、わずか3ヵ月〜6ヵ月の研修で、しかも日常の業務は普通通り行いながらであるが、修了後は、海外で技術者として現地工場で指導している人、渡米して現地の人の面接・採用そして配置を行って、短期間でフル稼働できる支店を作り上げた人、インドの研究所でインド人研究者と毎日議論して彼らをウーンとうならせるほどの英語力を習得した人たちもいる。

では、どのようにすればこのようなことが可能なのだろうか? 英総研の研修プログラムは、専門の応用言語学の最新の理論と実証的なデータをきちんと踏まえた DEEP–CITE と呼ばれるもので、主に3ヵ月プラン、6ヵ月プランでの実施となっている。これまで実施した研修ではおかげさまで目標達成率99.7%を誇っている。(詳しくはホームページ http://www.abehajime.net

その驚異的な達成率が口コミで伝わり、現在まだ宣伝などはいっさいしていないにもかかわらず、官庁をはじめ全国の企業や学校、あるいは個人からの問い合わせや相談が相次いでいる。英語に困っているところがいかに多いかということである。残念ながら、そのようなところはほとんどの場合、ただ英語教師がサークル然、学校のクラス然とした週1〜2回程度の英会話などを行っているにすぎない。これではとても英語をマスターすることは不可能である。これまで中学・高校・大学と英語の授業や会話のクラスを受けて、スラスラ話せるようになっただろうか。その同じことをなぜまた企業に入ってまでやるのだろうか。

DEEP–CITE の最大の特徴は、大人の持つ「納得しながらやっていく」力と「大人としての尊厳を守る」という二つを大切にしていることである。

このたび、IBCパブリッシングの浦社長から、DEEP–CITE の中の強力な研修テキストやツールを、ぜひ書籍として公開して一般の方の英語学習にも大いに役立てたいとのお話があり、一般の方用に刊行することとなった。DEEP–CITE の160万にも及ぶ膨大なデータベースから選び抜いた本書の600フレーズによって、読者のみなさんが “Situational Simulation Approach” を習得され、みなさんの英語の実践的コミュニケーション能力向上に寄与することを願う。

阿部一(あべ はじめ)

英語総合研究所所長。元・獨協大学外国語学部、及び同大学院教授。20年以上に渡って獨協大学の英語教育プログラムの向上に尽くす。元・NHKラジオ「基礎英語」講師。文部科学省をはじめ、英検や各都道府県の教育委員会・教育センターなどで、日本人教師や外国人講師に150回以上の講演会、研修会、ワークショップなどを行っている。

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