読書の秋?

読書の秋、といいますが、私は年がら年中読書日和です。今は、先日ツィッターで『新宿の果実』音声ダウンロードに反応してくださった盛田隆二さんの『二人静』を読んでます。今3分の2くらいまで読み終えましたが、「早く続きを読みた〜い」感じの本です。それについてはまた後日。 ただいま私は、10月、11月、12月の刊行物の作業中。 10月と11月は、大物(『英語手帳』と、『山﨑拓巳デイリーコーチング』)の制作作業を早々と終えてしまったので、通常のシリーズ物の制作と、12月に予定している単行本2冊、その他の制作作業をしております。 10月は「推理もの月刊」で、ラダー『怪盗ルパン』(仮題)とオーディオ『ホームズ事件簿』(仮題)。 11月は「恋愛もの月刊」で、ラダー『ロミオとジュリエット』とオーディオ『ローマの休日』です。 まさに「読書の秋」にふさわしい王道ラインナップですねー。

ラダーシリーズ・レベル3『怪盗ルパン』は、ルパン第一短編集の全9篇「ルパン逮捕される」「獄中のアルセーヌ=ルパン」「ルパンの脱獄」「ふしぎな旅行者」「女王の首飾り」「ハートの7」「アンベール夫人の金庫」「黒真珠」「遅かったホームズ」が収録されています。昔日本語訳を読んだはずなのですが、まったく記憶にありません。

イラストを描いてくださった菊地玲奈さんいわく「ガニマール警部がどうしても銭形の画しか浮かんでこない・・・」。はい、私も『ルパン三世』しか思い出せません(笑)。

同様に思われた方は、ぜひ、ラダーシリーズで「本家アルセーヌ・ルパン」をお楽しみください。10月下旬発売予定です。

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9月1日という、帰国の日に思ったこと

昨日アメリカの出張から日本に帰ってきました。
そして、今日は東京FMに6時半から出演します。番組でのピーター・バラカンさんとの久しぶりの再開が楽しみです。

ところで、今回の帰国は、羽田空港にロサンゼルスからの直行便ができ、午前5時の到着の予定が早まって4時過ぎに着陸となりました。
夜明け前の静かな空港のロビーに立って、唖然。始発の電車も何もなく、疲れていて、それまで時間を潰すのがいやなら、タクシーを利用するしかありません。

私は日本人なので、そうした情報を即座に理解し、それなりの心の準備はできました。しかし、外国人はどうでしょう。
私の乗った飛行機のみならず、多くの機内サービスでもいえるのですが、シートベルト着用や離着陸に関する定型のアナウンスは英語でもあるのですが、遅延情報など何か特別なことがあったりした場合のアナウンスは、英語ではほとんどないのが日本の航空会社の現状です。

「日本では何かがおきたときには自分で情報をとるしか方法がない」と、ある外国の人が私に言ってくれたことがあります。
多くの日本人は外国に行って、海外に比べ日本はなんてきめの細かいサービスがあるのだろうと思うのではないでしょうか。
でも、実際、外国から来た人は、適切な英語での扶助がなく、困っているケースが数えきれないほどあるのです。

私は、以前3月11日の大震災のおり、成田空港で地震直後から数時間英語でのアナウンスが一切なかったことを指摘したことがありました。
マニュアルに書いていないことがおきたとき、日本人は混乱するとは、昔から言われてきた日本の弱みでしょう。
しかし、英語のうまい下手はともかく、なんらかの形での情報提供は外国から来ている人への思いやりとして、必要なのではないでしょうか。

国際化などと云々する前に、こうしたことにすら気付いていない、公的機関の質の悪さに失望するばかりです。

9月1日は防災の日。東京では交通機関を朝9時から10分間遮断して、いざというときの交通の流れをコントロールする訓練が行われました。

それを批判するわけではありませんが、またマニュアルだけはうまくできたねと、シニカルに思うのは私一人でしょうか。そして、こうしたマニュアルでの恩恵すら受けられない外国人は、どのように感じているのでしょうか。

山久瀬 洋二 (やまくせ ようじ)

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向田邦子さんと竹脇無我さん

今月22日、竹脇無我さん死去のニュースをみたとき、まず最初に頭に浮かんだのは「今日(8月22日)は向田邦子さんの命日だ」ということでした。

実際に竹脇無我さんが亡くなったのは前日の21日だったのですが、それでもお二人のご縁を感じます。

私の中で、お二人の共通項は『幸福』というテレビドラマです。無口で不器用な、でもかっこいい主役を演じたのが竹脇無我さんでした。

今私の手元にある新潮文庫の『幸福』(向田邦子脚本、ドラマシナリオ)を見ると、昭和55年7月25日から10月17日、東京放送で13回連続放映とあります。それは、テレビの連続ドラマを欠かさず見られるほど、私が暇な子供だった頃のことでした。

それから1年も経たずに、飛行機事故で向田さんは亡くなりますが、没後30年経った今でもなお、リメイクされるドラマがあり、小説や脚本が読み継がれていて、今更ながら早すぎる死が惜しまれます。

もうひとつ、この『幸福』では、テーマ曲『You Needed Me』(邦題:辛い別れ アン・マレー)も好きでした。……歌詞が簡単な単語ばかりだったので(苦笑)。そして、そのなかでは難しい「dignity」という英単語の意味を知ったのも、この歌のおかげです。

…… I sold my soul
You bought it back for me
And help me up and gave me dignity ……

(…… 私が魂を売るとあなたが買い戻してくれた。
そして私を支え、ディグニティを与えてくれた ……)

「dignity」は英和辞典では「尊厳」「品位」などと訳されていますが、向田さんが『幸福』で描きたかったのは「人が生きる上でなくしてはならない尊厳」のようなものだったのかなと思います。

ドラマの再放送、見たいです。(DVDの中古が4万円以上しました!)

蛇足ですが、弊社の対訳ニッポン双書『国家の品格』は、『The Dignity of the Nation』と訳されています。

 

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ジョン万次郎とE-Pub3.0

カリフォルニアのシリコンバレーにあるバーリンゲイムという町。
先週、私はそこのとある銀行に行き、アメリカでのビジネスのために口座を開こうとしていました。
今、アメリカでは書籍の電子化がどんどん進み、電子化のフォーマットであるE-Pubというスタンダードも既に3世代目になっています。
新しいE-Pub3.0は電子ブックに対応するのみではなく、音声やビジュアルイメージとの互換性もある、電子ブック時代を担うフォーマットです。
私は、そんな動きに対応するため、アメリカの書籍コンテンツの導入の準備のため、カリフォルニアに出張していたのです。

その銀行で私の応対をしてくれたのは、ベトナム系の女性で、ホーチミンシティの出身。テキパキと仕事をこなす中、途中で彼女の上司が姿を現し、私に話しかけました。
この人もアジア系だなと思ったとき、彼は私に日本人かと尋ねます。
そうだと答えると、自分は母方が日系移民で、5世代目にあたるというのです。日系移民はカリフォルニアでは珍しいことではありませんが、その母方の名前を聞いたとき、ちょっと驚きました。
「確か、日本では中浜という姓でした」
その人はそう説明します。
「中浜って、高知県の人だったのですか」
私がそうきくと、
「それはわかりません。ただ、私の祖先は日本とアメリカとの開国の時に活躍した人で、えーとなんて名前だったか」
というので、
「もしかして、中浜万次郎?」
ときいてみると、
「そうそう、そうでした」
と答えるのです。

中浜万次郎はジョン万次郎の本名。ジョン万次郎が漂流しているところをアメリカの捕鯨船に救われ、東海岸で教育を受けて帰国し、ペリー来航の頃に通訳などで活躍した人であることは、多くの人の知るところです。
その子孫が、バーリンゲイムで銀行員をしていたというわけです。

E-Pub3は世界のスタンダードになろうとしています。
しかし、日本の出版界はその導入に未だ本気になっておらず、E-Pub3が縦書きの日本語にも対応していることだけを評価し、音声などと対応した多様性のある電子ブックの将来には未だに反応しようとしていません。
そして、日本だけで通用するXMDFというフォーマットが未だにその主流となっています。

ジョン万次郎は、アメリカ帰りということで、当時の幕府のエリートには警戒され、その才能やアメリカで得てきた情報の多くは活用されないままであったときいています。
今、日本の出版界も、海外の電子化の動きに戸惑い警戒するだけで、それを積極的に取り込み研究しようとはしていません。

バーリンゲイムの銀行での出来事は、ジョン万次郎とE-Pub3.0という、まったく無関係な二つの事柄が、私の中で一つの糸でつながり、日本の昔と変わらぬ側面がふと見えてきた瞬間だったのです。

HKagawa

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グアテマラからみた日本

アメリカのヒューストンに出張し、そこから2時間ほど飛行機に乗って中米のグアテマラにやってきました。
メキシコに旅したときも同様ですが、アメリカの経済的、政治的影響を強く受け、かつアメリカへの移民も多い中米でありながら、そこの国に入れば英語がなかなか通じないことにはいつも驚かされます。
グアテマラの首都グアテマラ・シティから車で1時間少々、18世紀までこの国の首都であった古都、アンティグアに向かいました。
16世紀にアンティグアに首都が遷されて200年後、この町は大地震に見舞われます。壊滅した町を捨てて新たに建設した首都が、グアテマラ・シティだったのです。
アンティグアは、アグナ山という富士山を思わせる高山の麓にある、日本でいえば京都のような所です。決して治安の良くないグアテマラにあって、観光で成り立つこの美しい古都だけは、安心して散歩ができます。
そんな、アンティグアに昔あった大学の跡が、今では一般に開放され、その中庭のあるスペイン風の回廊に並ぶ部屋には、当時の宗教画が飾られています。
その中に、私はイグナチウス・ロヨラの肖像画を見つけました。

大航海時代、軍人からカトリックの神父になり、新大陸やアジアへの布教をめざし、イエズス会を創設したのがイグナチウス・ロヨラでした。
そして、彼の盟友としてパリのソルボンヌ大学でイエズス会の同士となったのが、日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルです。
ザビエルは、ポルトガル王の保護を受け、アジアへの布教にでますが、ロヨラはイタリアに残り、イエズス会を支えます。

そして、スペインが開拓し、植民地にしたグアテマラにもイエズス会の影響があったのか、ロヨラの肖像画がアンティグアの大学に飾られていたのです。
マヤ文明の子孫の先住民達は、その後のスペインの支配の中で、自らの文化の多くを失い、今ではひっそりと暮らしています。ヨーロッパの血が混じった現在のグアテマラの人が政治的にも経済的にも幅をきかせる中で、アンティグアに現れる先住民の多くは、路上で観光客に民芸品を売って生計をたてています。

ロヨラやザビエルは、カトリック教会のためにイエズス会を結成し、会員の多くはアジアや新大陸への命がけの旅にでてゆきます。
しかし、ポルトガルやスペインの時の為政者は、新大陸やアジアへの航海はあくまでも投資活動で、そうした地域で得た香辛料などからヨーロッパで莫大な利益を得ていたのです。

経済活動が植民地経営の本音であれば、ロヨラやザビエルは、その建前に利用され、カトリックの布教へ一生を捧げたのでしょう。
グアテマラのアンティグアでみたロヨラの肖像と、ヨーロッパの為政者の本音を感じ、ザビエルの布教から1世紀にも満たない間に厳しい禁教と鎖国へと踏み切った日本。
その二つの国が太平洋を挟んで対峙し、そしてグアテマラ山間で細々と暮らす先住民の姿に触れるとき、日本とグアテマラが同じ時期に西欧文化に遭遇し、まったく逆の方向へと国が変わっていったことが実感できます。
ちょっとした歴史の感慨が私の胸を突き抜けたのでした。

山久瀬 洋二 (やまくせ ようじ)

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